前回はオートキャド(AutoCAD)の印刷スタイルについて、会社や同じプロジェクトなど、ある程度の集団で共有する事が効果的だという話をしました。
こうして印刷スタイルを共有する事によって、誰が作図した図面を誰が印刷しても、常に同じ結果が図面には表示される事になります。
これは非常に便利で使いやすい機能ではないかと思います。
もちろんたくさんの方と共有する設定なので、完全に自分の好みと合った設定になっているかというと、まあそんな事はあり得ませんよね。
きっと「こう設定した方が絶対に良いのに…」というような部分が、人によって大小の差はありながらもきっと存在していることでしょう。
私も今仕事で使っている印刷スタイルを完全に気に入っているかというと、やっぱり少し変えたいという気持ちがあったりします。
でも、そうした自分の好みというのはあくまでも自分の勝手な判断でしかありません。
そこで自分なりにいくら洗練されていると思われる設定を使っても、自分だけでしか使えていない、つまり普及していない設定だとしたら…
やっぱりそうした自分勝手な設定には価値はないんですよね。
私の場合も、もうかなり昔の話ですが、先ほど書いたように「もっとこうした方が全然便利なのに…」と思った事が結構ありました。
そして実際に自分だけで設定を変えたりして、やっぱり自分が印刷する図面が一番綺麗で整っているな、みたいな事を思っていました。
でもそれは今考えると単なる自己満足の世界でしかなかった。
もちろん図面を印刷する為の設定を少しだけ変えただけなので、仕事で圧倒的に困るようなトラブルに発展する事はありませんでした。
それでもチームの和を乱してまでやるような事ではなかった。
それが今ではよく分かりますが…まあ若いというのはそういった事なのかも知れません。
さて、そうした「皆で統一」という概念がある印刷スタイルでも、当然のことながらその統一には限界が存在します。
全世界共通でこの印刷設定を使う、みたいな事があれば良いのかも知れませんが、そんな手間の掛かる統一の作業にはあまりメリットがないので誰もやりません。
なので、恐らく統一した設定で使えるのは会社単位とか、多くてもグループ企業で統一とか、頑張ってもそのくらいの規模までしかいけないと思います。
もちろんそれで充分に便利なので、それについて特に問題視するつもりはないです。
「印刷設定は世界共通とすべし!」みたいな思想は気持ち悪いですし。
そうではなくて、「印刷スタイルは会社によって違う」事を踏まえた仕事のやり方をする必要があるかも知れない、という話です。
例えば違う会社の方に図面データを送る場合には、自分たちが使っている印刷スタイルを一緒に送った方が親切だと思うとか。
逆パターンとして、相手の会社から図面データを送ってもらう時には、印刷スタイルもセットで送ってもらうように依頼するとか。
このあたりは何度か図面データのやりとりをしていくと自然と気がつく事ではありますが、特に依頼がなくても気がつくと良い感じですよね。
仕事でそうした気配りが出来るようになるには、やはり「印刷設定は共通ではない」という知識が前提として必要になってきます。
そんなに大きな話ではありませんが、こうした細かい知識を積み重ねていくのは意外に重要な事だったりするんですよね。
その小さな積み重ねが、後々で結構大きな差になったりするので、まずはオートキャド(AutoCAD)の知識を少しずつ積み重ねていくことを心がけていきましょう。