AutoCAD(オートキャド)を使って図面を描く仕事を続けていると、当然のように操作には少しずつ、しかし確実に慣れてきます。
そうなると、1枚の図面を作図するまでに掛かる時間は徐々に短くなっていくし、図面修正の時間もやはり短くなっていく。
つまり業務の効率化が進むことになります。
業務の効率化が進んでいくと、少しずつ自分やり方が固まってきて、自分のやり方がベストだと考えるようになり、それに愛着を持つようになっていきます。
そして、自分のやり方がベストだと思うからこそ、新しい機能やもっと効率が良いと思われるやり方には目が向かなくなっていく危険性もある。
そんな話を前回は取り上げてみましたが…
このあたりの話は何というか、言うのは簡単というか、実際にそうした状況になってみると難しいですよね。
「自分のやり方がベスト」だと思うこと自体は、そう思えるくらい色々と工夫をしている訳で、プロとしては間違いなく良いことなんです。
だけどどこかの段階で、自分のやり方が完成してしまう。
完成するというのは一見良いことのように感じてしまいますけど、実際は「これ以上進歩しない」ことを意味していて、必ずしも良いとは言いきれないところもあるんですよね。
もちろん自分のやり方を少しずつ磨いていき、その結果「完成したと感じる」こと自体は間違いなく良いことです。
仕事で経験を積むというのは、ひとまずそうした一人前と呼べるレベルを目指すことだとも思います。
ただ、やっぱり「もうこれで充分」だと思ってしまうと、それ以降はなかなか自分のやり方を変えていくのが難しいという現実もある。
個人的にはそのあたりのバランスが難しいと感じます。
プロとして目指していく方向性は間違っていないけれど、そこまで到達したと感じた後で目標をどう切り替えていくのか。
これは人によって様々だと思うので、ここで語れる程簡単な話ではないんですよね…
■中途半端なベテラン
初心者と呼ばれる状態から少しずつAutoCAD(オートキャド)に触れていき、少しずつ自分の操作方法を改善していく。
そうした繰り返しの中でスキルを高めていき、仕事である程度成果を出すことでその方向性が間違っていないことを確認する。
そうやって自分のスキルを高めていき、最終的には「今の自分のやり方がベストではないか」というところまで到達する訳です。
ただ、そうなったら余程の事がない限り、それ以上自分のやり方を変えていくことが難しくなってくるかも知れません。
今まで慣れ親しんできたやり方だから変えたくない気持ちもあるし、手に馴染んでいるやり方を変えれば一時的には効率が落ちるという現実もある。
だから今までと同じやり方を継続した方が良い、という考え方で、困ったことにその考え方は概ね正しいんですよね。
しかし。
当サイトでは、それがどんなに手に馴染んでいるやり方だったとしても、1年に1回くらいは操作方法を改善してみることをお勧めします。
これは自分自身に向かって書いていることでもあるので、結構というか、かなりしつこくなっていますが…
やり方を改善しない状態は停滞を意味していて、周囲が進歩していく中で停滞することは、相対的には後退していることを意味するんですよね。
これはAutoCAD(オートキャド)を仕事にしている方にとって、かなり危険な状態だと思いませんか?
自分のやり方をずっと続けてきた結果、いつの間にかまわりには自分よりも効率良くやっている人ばかりになる。
…というような、すごく分かりやすい状況になれば、そこには危機感を感じられる余地があるのでまだ良いです。
現実はそこまでわかりやすくない。
仕事をしていると、何となく自分よりも結果を出している人の方が多いんじゃないかと感じないこともない。
若い人の方が何となくスムーズに仕事を進めているような気がするけど、その理由はなぜなのかモヤモヤする。
そんな感じの、非常に微妙な変化を何となく感じる、というのが現実ではないかと思います。
少なくとも何らかの対応が必要な気がするけど、実際どうしよう…というような状況かも知れません。
かと言ってもうベテランなので人にやり方を聞くのは恥ずかしいし、いまさら自分のやり方を変えていくのは面倒くさい。
まあプロが自分の仕事を「面倒」とか言ってはダメですけど…
そうなると、今まで通り自分がベストだと思うやり方を続けるしかなくて、状況はやはり大きくは変わらず。
そして、短いスパンで見れば、今まで通りのやり方で仕事をしても、そこまで大きく困ることもありません。
だけど仕事を評価する側としては、その人がどのような仕事をしているのか、ある程度客観的に時間や金額などの数字を見て判断していきます。
そうやって評価していくと、経験は確かにあるけれど、若い人とそこまで大きな成果の差はないと判断される可能性もあります。
出している成果が同じであれば、若い方の方が素直だし意欲もあるし、現状では給料も安い、というプラスの要素が見えてきます。
経験を積んでいるベテランの方は、どうしても上から目線のような発言が出がちで、だけど成果はあまり若い方と変わらない。
そうした現状を見た結果、若い方にのびのびと仕事をしてもらうために、中途半端なベテランの方はあまり必要ないかな、という判断になる可能性もある訳です。
これは少し極端な表現をしていますけど、実際に仕事をしていると似たような話を結構耳にすることになります。
私自身がその「中途半端なベテラン」になってしまわないように、という意味もあるので長々と話をしてしまいました。
どこまで経験を積んだとしても、今より良いやり方は存在する。
そう思って日々仕事をこなしていきたいものです。