オートキャド(AutoCAD)が用意しているペーパー空間という機能は、基本的に図面を印刷する為に使う事を想定しています。
もちろん使い方は作図する方の自由ですから、ペーパー空間内に作図をしていく事も全然可能ではありますが…
出来るけどやる意味があまりない…というのが正直なところ。
モデル空間とペーパー空間両方の使い勝手を知ってしまうと、そこで別に個性を発揮しなくても良いかなと思ってしまいます。
用意されている機能を適材適所という考え方で使い分けていくと、あまりペーパー空間で作図をする気持ちにはなれないんですよね。
なので、一般的にはモデル空間で作図を進めていき、印刷する図面として体裁を整えていく作業をペーパー空間で進めていく。
そんな組み合わせで使いこなしていくのが良いかと思います。
ペーパー空間は基本的に図面を印刷する為の場所で、A1サイズの用紙(841mm×594mm)内に納まるように図面枠とビューポートを配置する事になる、という話を前回は紹介しました。
そうなるとビューポートの最大サイズはある程度限定されてくる事になり、まずはある程度限定された条件を元にして話を進めていく、という話でした。
あまりにも条件が何もなくて全てが自由になるという設定だと、実際に操作する際には意外と困ってしまうものなんです。
これは実際にやってみると実感するはずで、まずは「これを守って設定していく!」という条件が決められていた方が楽な場合が多いです。
守るべき条件は、A1用紙サイズ以上の大きさにしても印刷が出来ないという理由から、ビューポートの最大サイズが800mm×500mm程度というもの。
この条件を踏まえて、ほぼ最大サイズのビューポートで抜き出す事が出来る範囲などについて考えてみる事にしましょう。
例えばモデル空間で作図した図面があったとして、その内容を縮尺1/50でペーパー空間上に抜き出して表示したくなった場合。
そして、その図面を抜き出す為に使うビューポートのサイズが800mm×500mmだとすると…
ここまで条件が揃うと、モデル空間上で作図した内容をどの範囲まで抜き出す事が出来るのかが明確になってきます。
・縮尺1/50の図面になるので印刷する際に1/50倍にする
・ビューポートのサイズは用紙サイズより大きくは出来ず今回は800mm×500mmで想定
・1/50に縮小された図面を表示するのがビューポートの役目
・つまりビューポートサイズの50倍の範囲を抜き出す事が出来る
ちょっと回りくどい感じもありますが、モデル空間を抜き出して表示出来る範囲と、ビューポートのサイズの関係は上記のようになっています。
これを具体的な計算で表現すると…
ビューポートのサイズが800mm×500mmなので、モデル空間ではその50倍の範囲を抜き出せるという事を意味しています。
800mm × 50 = 40000mm
500mm × 50 = 25000mm
つまり上記のような計算となり、ここで分かりやすくメートルで表現すると40m×25mの範囲を抜き出せる事になります。
これは結構広い範囲を網羅する事になるので、建物などを表現する際には縮尺1/50程度の図面を描く場合が多いです。
それでも1枚の図面に納まらないような建物は多いですが、その場合は図面を分割して表現をしていく事を考えていきます。
図面として表現する対象の大きさで図面の縮尺を変えるのではなく、どのような図面を描くのかによって図面の縮尺は決まるもの。
そのあたりを意識して図面を描いていく為に、ビューポートのサイズと縮尺、そして抜き出せる範囲の関係を知っておく事が重要になってくる訳です。