画層プロパティ管理画面ではそれぞれの画層毎に色の設定を変更する事が出来るので、出来るだけ見やすい適切な色設定が重要になってくる。
前回はそのような説明をしましたが、色の設定というのは何も画面上での操作のしやすさだけで決めるものではありません。
そのあたりの話を前回は説明出来ていなかったので、今回はオートキャド(AutoCAD)の色について少し追加で説明をしたいと思います。
まず、オートキャド(AutoCAD)で色を区分する意味が、画面を見やすくする事で操作性を高める事以外にあるのか。
…という話ですが、もちろん色の設定は画面上の話だけではありません。
以前も少し取り上げた通り、オートキャド(AutoCAD)での色は、完成した図面を印刷する際に重要な役割を果たすことになります。
もう少し具体的に言うと、図面を印刷する際に調整するのは「何色をどんな設定で印刷するか」という設定になっています。
前回取り上げた色の設定では、文字の色を8(グレー)から黄色に変更してみる、というような説明をしました。
しかしそうして画面上の見やすさだけを考えて色を変更すると、それによって印刷結果が大きく変わってしまう事もあるんです。
・8(グレー) → 太さ0.15mm+黒で印刷
・2(黄色) → 太さ0.25mm+カラーで印刷
例えば上記のような印刷設定になっていた場合。
画面の見やすさを重視して文字の色をグレーから黄色に変更した際に、文字はやや太めでなおかつカラーで印刷される事になります。
黄色をそのままカラーで印刷すると、紙の色は基本的に白なので、白地に黄色い文字という事になって全然読めない状態になってしまいます。
というのは少し極端な例ではありますが、各画層の色設定は単純に画面上での見やすさだけを考えれば良い訳ではない、という話でした。
画面上だけではなく最終的に印刷する事を意識しながら線の色を、つまり画層の色を細かく設定していく必要がある訳です。
オートキャド(AutoCAD)で図面を作図する際には、画層の数だけ細かく色の設定していくという、結構地道な作業が必要になってきます。
こうした細かい設定によって最終的な図面の見た目は大きく変わってしまうので、それぞれの画層をどんな色に設定していくのかは非常に重要な要素なんです。
正直言ってちょっと面倒くさい。
そんな意見というか感想も聞こえてきそうですが、こうした設定が細かくて面倒なのはもう間違いのない事実だと思います。
毎回そんな細かい設定が必要になってくるとしたら、細かい設定がそれほど苦ではない私も、さすがに面倒だと感じます。
でも実際には毎回ではないので大丈夫。
こうした画層の設定や色の設定は、会社毎にあらかじめ決められている事がほとんどです。
自分で全ての画層設定や色の設定をゼロから作り込んでいくというような作業は、恐らくほとんどないはずなので安心してください。
会社として考えてみると、作図する人によって画層や色の設定が違うというのは、図面データを管理していく上で非常に困る状態のはず。
そうならないように作図標準を用意しておくのは当然のことですよね。
なので、いくら自分用の画層設定を緻密に作り込んたとしても「他の人と設定を合わせてくれないと困る」みたいな話になるはず。
であれば先に「皆と設定を合わせるので共通の作図基準をください」と言った方が早いし、何より周囲の方もそれを聞いて多分安心します。
それなのにここで説明をしているのはなぜかというと…
ゼロから画層設定を作り込んで行く事はないにしても、ちょっと画層を追加したりなどの作業は絶対にあるから。
そして、色の設定が印刷結果に影響を与える事を知っておく必要も当然あるからでした。
次回は画層プロパティ管理の説明に戻ります。