図面というのは線や円、文字や寸法線など様々な要素によって構成されています。
これはAutoCAD(オートキャド)を使って作図するかどうかに関わらず、恐らく全ての図面に当てはまる事ではないかと思います。
単純に線を引いただけではその線分が何を表しているのかが分かりにくい為、文字によってその情報を補足したり。
あるいは線分が押さえている位置関係を明確にするという目的で、寸法線を記入する事によって図面を具体的にしていったり。
もしくは線の種類によってその線がどんな意味を持っているのかを表現したり。
というように、色々な方法を使って出来るだけ図面を分かりやすく表現するようにと考えている訳です。
今回取り上げたいのが、ここで少し紹介した「線種」です。
図面を作図する際には、どのような種類の線を引くのかによって、図面内に配置していく線の意味が結構変わってきます。
例えば実線であれば断面線や見え掛かり線を表していて、点線であれば直接は見えない線を表し、一点鎖線であれば中心線を意味するなど。
こうした図面内の基本的なお約束があるので、AutoCAD(オートキャド)で作図をする場合にも、線の種類には色々と気を使う必要があるんです。
AutoCAD(オートキャド)では線の種類が色々用意されていて、それを使い分ける事で自動的に線の種類は変わってくれます。
これは手描きに比べるとかなり楽な作業です。
例えば点線を手書きする際には、定規に合わせて線を引きながら、ペンを上下に自分で動かして点線にしていく操作が求められます。
個人的な話をしてしまうと、私はこれがあまり得意ではありません。
最初は結構細かいピッチの点線で始まるのに、最後の方はもう堪えきれずという感じでピッチが粗くなってしまうんです。
最後まで細かくペンを上下するのが面倒になってしまう、と言う表現は仕事で図面を描いている以上なかなか出来ませんが…
まあ実際にはやっぱり途中で面倒になってピッチが粗くなってしまうんですよね。
そうした面倒がないというのがAutoCAD(オートキャド)の良いところです。
その代わりに少しだけ設定が必要になってきて、その設定が「線種尺度」という考え方になります。
先程点線のピッチが粗くなってしまうという話をしましたが、線のピッチが適切じゃないと図面としては少し見づらくなってしまいますよね。
手描きの場合は少しピッチが変わる程度で済みますが、AutoCAD(オートキャド)の場合は設定によって非常に極端になってしまいます。
例えば、点線を作図したつもりでも、あまりにもピッチが細かくなりすぎてしまい、結果として点線が実線に見えてしまったり。
もしくはその逆で、非常に大きなピッチの点線になってしまい、やはり結果として点線には見えない状態になったり。
要するに「データの属性としては色々な線種になっているけれど、印刷した図面では全て実線に見えてしまう」という事が考えられる訳です。
これは自分の手で図面を描く場合には考えられない事で、AutoCAD(オートキャド)ならではの状態と言えます。
そうなると、いくらCADデータ上は点線になっています、と言っても残念ながらあまり意味がありません。
AutoCAD(オートキャド)で作図した図面でも、結局は印刷した図面で評価される訳ですから、常に印刷された状態をイメージしておかないといけません。
図面上で色々な線種を使う際には「線種尺度」と呼ばれる設定を調整していく必要がある、という話でした。
全然具体的な話になっていないので、次回に考え方と設定方法について説明していきます。