オートキャド(AutoCAD)には色々な設定や考え方があって、そのひとつに作図する為の空間と印刷する為の空間という概念があります。
作図する為の空間を「モデル空間」と呼び、印刷する為の空間を「ペーパー空間」あるいは「レイアウト空間」と呼びます。
もちろんオートキャド(AutoCAD)は自由度の高いCADなので、モデル空間に作図してそのままモデル空間上で印刷する事も可能です。
逆にペーパー空間上で作図をしてそのままペーパー空間で印刷する事も、あまりやる意味はありませんが可能ではあります。
作図をした後で印刷をする際に、モデル空間とペーパー空間の使い分けをしていくと非常に便利ではありますが、その為には色々と覚えなければならない事も。
そのあたりの話は別のカテゴリで詳しく説明をしていこうと思っています。
今回はそうした空間についての話をする前に、オートキャド(AutoCAD)の座標系について少し考えてみます。
ちょっと複雑に聞こえるかも知れませんが、実際にはそれ程複雑な事はしていませんのであまり身構えないで読んで頂ければと思います。
オートキャド(AutoCAD)を作図する際に使うモデル空間には、UCSとWCSと呼ばれる二つの座標系が用意されています。
UCSとWCSはそれぞれ以下のような意味合いを持っています。
・UCS → User Coordinate System(ユーザー座標系)
・WCS → World Coordinate System(ワールド座標系)
ワールドとか言われると少し大げさに感じてしまいますが…
UCSはユーザー、つまり作図している側で自由に設定出来る座標系で、WCSは作図している側では変えられない、図面の基準となる座標系という感じになっています。
そもそも座標系って何かと言うと…
作図する為のモデル空間上に用意された、原点(0,0,0)を基準としたX方向、Y方向、Z方向の座標を指しています。
作図をする際に数値入力で座標を指定したりする場合、この座標をベースにして点が指定される事になるので、作図する方に無関係という訳にはいかないんです。
特に指定がない場合は初期設定で UCS=WCS となっています。
そして必要になった場合にはUCSを自由に指定する事が出来て、作図を円滑に進める事が出来るというような機能がUCSの基本的な考え方になります。
オートキャド(AutoCAD)を起動した際にとりあえず見えるのが以下のような表示で、これが「UCSアイコン」と呼ばれるものです。
これは現在のカーソルがX方向とY方向に対して水平垂直になっている事を意味しています。
オートキャド(AutoCAD)では特に大きな問題がない限り、こうしてX座標とY座標に対して水平垂直に作図をしていきます。
別に座標については厳しい決まりがある訳ではありません。
しかし実際にはそうした考え方で作図を進めた方が楽だし分かりやすいので、あえてそこを変える必要がないというのが主な理由です。
作図した要素に3D情報が盛り込まれていて、その要素を斜めから見る必要がある場合は少しカーソルの向きが変わります。
そうすると、UCSアイコンの表示も少し変わって下図のような見え方になってきます。
この状態はX方向とY方向、そしてZ方向共に平行になっていない状態を表していて、この状態で作図するのは少し大変かも知れません。
上図では別にUSCを変更した訳ではなく、単純にUCSを斜めから見ているだけの状態です。
実際にUCSを変更するのはどんな状況なのか、実際にどんな操作で進めていくのか、というあたりについては次回に詳しく説明していこうと思います。