前回はオートキャド(AutoCAD)が用意してくれている便利な機能として、ペーパー空間という概念があることを紹介しました。
最初の頃は少しややこしく感じてしまうと思いますが、実際に使ってみるともう「これなしでは作図出来ない」というくらい便利な機能に感じるはずです。
今回はモデル空間とペーパー空間の違いについて、その切り替え方法につて、その設定について、もう少し具体的に説明してみたいと思います。
モデル空間では、作図対象をそのままのサイズで、用紙に入りきらないサイズである場合がほとんどではありますが作図をしていく。
そしてその内容をA1サイズなどの図面に納める為に、ペーパー空間上で抜き出しつつ縮小表示して図面としてまとめていく。
これが基本的なオートキャド(AutoCAD)での作図手順になります。
こうした手順で図面をレイアウトしていく事で得られるメリットは幾つかあります。
・作図対象を分割図面として表現する場合でも、モデル空間では分割する必要がない
・異なる縮尺の図面を同じ図面内に表現するのが非常に楽
これらのメリットは非常に強力で、もうペーパー空間がない場合はどうやってCADで作図していけば良いのか分かりません。
少し盛っている感もありますが、ペーパー空間の機能はそれくらいの存在になると思います。
オートキャド(AutoCAD)の画面でモデル空間とペーパー空間を切り替えたり、新しいペーパー空間を作成したりするには…
とにかく画面下のタブに注目します。
上図では「モデル」というタブと「50」というタブ、そして「レイアウト1」というタブが作成されているのが分かります。
この中で「モデル」というタブがモデル空間になっていて、それ以外の「50」と「レイアウト1」がペーパー空間という事になります。
作図する為に用意されているモデル空間はこの「モデル」タブ一つだけで、名前を変更することも出来ない状態になっています。
これはモデル空間とペーパー空間の考え方からすると当然で、作図する為の空間を自由に増やせたりしたらもう収拾が付きません。
なのでモデル空間は一つだけで固定です。
その代わり、モデル空間で作図した内容を抜き出して配置する為に用意されているペーパー空間は、自由に増やす事が出来るし、名前も自由に付ける事が出来ます。
上図で紹介したペーパー空間の名前が「50」と「レイアウト1」では全然分かりにくいので、実際にはもっと分かりやすい名前を付けて管理していきます。
「レイアウト1」ではどんな図面なのかが分からないので、「平面図1」とか「断面図1」などの具体的な名前が良いでしょう。
ただ、ペーパー空間を増やしていくとタブは右側にどんどん追加されていきます。
あまりにも長い名前を付けてしまうと、たくさんのタブを同時に表示する事が難しくなってしまうため、出来ればタブの表示名はシンプルな方が良いと思います。
このあたりの話はバランスが難しいところでもありますが、私の場合は図面枠の中に表示している「A-101」などの図番を記入する事が多いです。
図番が表示されているだけではどんな図面なのかが分かりにくいので、その後にもう少し補足として図面名を記入する場合もあります。
そのあたりはもうケースバイケースという感じです。
ペーパー空間をたくさん作らない図面データであれば、少し補足を記入した方が分かりやすくて、結果的に管理がしやすくなるかも知れません。
タブの名前に単なるアルファベットと数字の組み合わせが表示されているだけだと、作図をしている自分以外には分かりにくいですから…