オートキャド(AutoCAD)では、モデル空間と呼ばれる作図する為のスペースに、対象をそのままの大きさで作図していきます。
そうなると当然印刷する用紙よりも大きいサイズで作図していく事になりますが、印刷する用紙に納まるように考えておく必要もあります。
これはちょっと矛盾しているように聞こえるかも知れません。
そうした矛盾を解消する為のツールとして、今回紹介するペーパー空間という概念がオートキャド(AutoCAD)には用意されています。
モデル空間で作図した図面はそのままだと大きい場合がほとんどなので、それを決められた用紙に納める必要があります。
その際にはある程度決められた倍率、例えば1/10とか1/30とか1/50などの倍率で縮小して印刷する事になり、この縮小率を図面の縮尺と呼びます。
縮尺1/1の図面、つまり用紙サイズに納める為に縮小する必要がない図面を「原寸」と呼んだりしますが、これは単純に作図対象がそれほど大きくない場合に使う事が出来ます。
A1サイズの用紙は841mm×594mmで、その用紙サイズに納まらない大きさの作図対象であれば、何らかの縮尺を設定する必要があるでしょう。
そうした場合に利用されるのがペーパー空間と呼ばれる作図空間になりますが、それだけでは分かりにくいのでもう少し具体的な話を。
ペーパー空間で何が出来るかというと、モデル空間で作図した内容を自由に抜き出して配置していく事が出来るようになっています。
「ビューポート」という機能を使ってモデル空間内の内容をペーパー空間上に抜き出し表示する事が出来て、その際にどの程度縮小して表示するかを設定する。
そのような手順で図面をレイアウトしていきます。
ペーパー空間のイメージとしては、A1サイズの用紙が画面上にある感じ。
その紙の上にビューポート機能で四角い穴をあけて、その穴からモデル空間に作図した内容を自由に表示していく事が出来る。
そうしてモデル空間に作図した様々な情報を、1枚の図面としてまとめていく訳です。
ペーパー空間もしくはレイアウト空間と呼ばれるのは、そうした作業をするための空間だからで、何となくイメージは出来るのではないかと思います。
モデル空間では作図対象をそのままの大きさで作図する為、1/50の図面と1/10の図面を同時に表示する事が結構難しいという問題があります。
縮尺1/50の図面は後々1/50に縮小するつもりで文字サイズなどを決めていて、縮尺1/10の図面も同じように1/10に縮小するつもりで文字サイズを決めています。
要するに文字サイズが5倍違う関係でモデル空間では作図されている訳で、それを同時に表示しても大きさが違いすぎて図面になりません。
かと言って、1/10で作図する図面を1/50の図面内に配置する為、正しい大きさで作図するのではなく5倍の大きさで作図するのも大変です。
こうした大きさの調整はほんの少しだけの詳細であれば時々やったりします。
ただ、やはり作図してから5倍にするにしても、頭の中で5倍に換算しながら作図するにしても、ちょっと面倒だし間違いの原因となるのであまりお勧めは出来ません。
しかしペーパー空間を使えば、それぞれの図面をビューポートで抜き出して、縮小率を1/50と1/10に設定すればそれでOK。
これはもう非常に便利なんです。
実際にやってみると、こうした状況の為にペーパー空間が用意されているんだな…と実感する事が出来ると思います。
今回はペーパー空間の概念という事で、言葉だけの説明になってしまい、あまり分かりやすくなかったかも知れません。
次回はもう少し具体的な説明を画像付きで紹介したいと思います。