前回はAutoCAD(オートキャド)の分解機能がどのような流れで進んでいくかについて具体的に説明をしました。
コマンドの実行から分解する要素の選択まではかなりシンプルな手順になるので、特に問題なく分解機能を使えたのではないかと思います。
コマンドの使い方だけであれば前回の説明だけで充分なのですが、分解機能は少し変わった性質を持っています。
気をつけておかないと後で苦労する場面もあるので、今回はそのあたりの注意点を紹介していきたいと思います。
…と、少し大げさな感じで説明を始めてしまいましたが、そこまで複雑な話では全然ありません。
分解機能の特徴は非常にシンプルで、一度分解してしまうと元に戻すことが難しくなる、というだけ。
例えば移動機能であれば、何らかの要素を一度移動した後で、もう少し移動したいと思えばそれはいつでも出来ますよね。
複写機能やオフセット機能でも、複写した要素が「ちょっと違うな…」と感じたら、その要素を消してしまえばそれでOKです。
でも分解機能の場合、一度分解した後で「これは分解しない方が正解だった」と思っても、そこから元に戻すのは結構大変です。
既にそれぞれの要素に分解されているので、ブロックを構成していた要素をすべて消して、改めてブロックを挿入するしかありません。
ブロックを構成していた要素をすべて消す、と簡単に書いていますが、実際にやってみるとこれが結構大変な作業になる場合が多いです。
複雑な形状のブロックであれば、どこまでがブロックだったかを自分の目で確認しながら消す必要があります。
ブロックを構成する要素が多くなればなるほど、消し忘れや消しすぎなどが発生する確率が高くなっていきます。
これは人間の手で操作する以上仕方がない事です。
まだ分解した直後であれば「元に戻す」機能を使って分解機能を実行する前の状態に戻せばそれでOKではあります。
しかし分解してしばらく別の作業をしている場合も結構多くて、そのタイミングで分解の操作を取り消すのはあまり現実的ではありません。
これはブロックの場合ですが。ポリラインの場合も似たような感じになります。
分解したポリラインを元に戻すには、ポリライン編集機能で再度線分に戻った要素をポリライン化する必要があります。
これがそこそこ面倒なんです。
しかしこの少し面倒な操作をしても、それぞれの線分が単純にポリラインという要素に変える事が出来るだけ。
せっかく線分ではなくポリラインにするくらいですから、それぞれをひとつの要素として扱いたいところです。
その状態に戻す為には、ポリライン編集で結合をしていくか、もしくは半径0のフィレットで繋いでいくか…
いずれにしても無駄な手間がかなりかかってしまうので、一度分解した後で元に戻そうとするのはお勧め出来ません。
寸法線も分解することが出来ますが、AutoCAD(オートキャド)の機能としてその操作にはあまりメリットはありません。
もし寸法線を間違えて分解してしまった場合は、分解した寸法線を全部消して寸法記入をやり直す事になり、余計な手間がやはり増えてしまいます。
と言うことで、分解機能が必要なシーンは間違いなくある訳ですが、分解したくない要素を分解してしまうと、戻す手間が結構大変という話でした。
取り扱いというか使いどころが難しい機能という表現をしたのは、そのあたりに理由があるんです。
特に分解する要素を選択する際には、予定していない要素を選択してしまわないように注意しつつ選択する事をお勧めします。
こうして注意喚起している私も、気がついたらブロックが分解されていたりする場合があったりします。
なので、いくら気をつけていてもやってしまう時はあると思いますが…
気をつけていないよりは全然少なくなるので、分解機能の特徴をしっかり押さえておき、有効に活用していきましょう。