世の中には色々な種類のCADが存在していて、どのような分野の図面を作図するのかによって、適したCADが少しずつ変わってきます。
例えば建築関連の図面であれば、AutoCAD(オートキャド)と呼ばれるCADもしくはJW_CADと呼ばれるCADがよく使われる事になります。
しかし設備関係の図面では配管やダクトの高さを確認したいなどがあり、AutoCAD(オートキャド)が持っている機能では少し足りない状態に。
そのため、配管やダクトの検討をする為には、それぞれの高さ設定を持たせることが出来るTfas(ティーファス)と呼ばれるCADを使う場合が多いです。
このように、建築や設備など図面の種類というか分野によって、実際には色々な種類のCADが使われているのが現実です。
こうした理屈を考えてみると、CADの種類が色々になるのは仕方がないというか、割と当然だという事が分かってくると思います。
ただ、こうした理由は確かに納得出来るものではありますが、これからCADを覚えようと考えている方にとってはあまり良いものではありません。
実際にどのCADを覚えれば良いか迷ってしまうという事がひとつ理由としてはあるし、覚えたCADを仕事で活用出来るのかという心配もあります。
そうなると色々なCADを使えるようになっておく方が、仕事としては有利なのかも知れない、と考えてしまいそうですが…
このあたりの理想と現実について今回は色々と考えてみたいと思います。
結論から書いてしまうと、色々なCADを使えるようになるのは確かにメリットがありますが、それよりもデメリットの方が大きいのでお勧めしません。
まずはメリットから考えてみると、これはもう言うまでもありませんが、色々な職種に対応する事が出来るという点に尽きます。
例えば建築関係の仕事であれば、AutoCAD(オートキャド)とJW_CADの両方を使えた方が、仕事を選ぶ時に有利であることは確実です。
さらにTfasも使えますとかになると、選択肢はさらに拡がることになるので、仕事の募集に対してのアドバンテージは結構大きいでしょう。
しかし現実を考えてみると、いくつもの種類のCADを使いこなすという事は、かなり難易度が高いもので、それにかかる手間も半端ではありません。
「使いこなす」というレベルになるには、継続して長時間そのCADを使っている必要があるはずなのですが、覚えているCADの種類全部で実行するのは無理です。
そうなると色々なCADを少しずつ、浅く広く操作していく事しか現実としては出来ない訳で、その状態を指して「使いこなしている」とはなかなか言えません。
ちょっと意地の悪い表現をしてしまうと、全てのCADは使えるけれど、全てが中途半端な状態でスペシャリストとは言えない、という状態になる訳です。
結局のところ、実際に仕事で使うCADは作図する図面の種類によって変わりますが、種類としては1つという事になるのが現実。
であれば、実際にメインで使う事になるCADのスキルを集中して高めていく方が、仕事としては効果が高いという事になります。
仕事には色々な種類があって、それによって仕事のやり方は変わってくるはずですが、少なくともCADの場合は「広く浅く」ではなく「狭く深く」の方が良いです。
その方が仕事で力を発揮できる可能性が高いはず。
具体的に言うと、AutoCAD(オートキャド)のスキルは非常に高いレベルにあって、JW_CDは印刷がなんとか出来る程度、とかです。
もちろんCADの種類が逆になっても良いですし、そこに別のCADが入ってきても全然問題はありません。
色々なCADをちょっとだけ使える状態も悪くはありませんが、1つのCADを極めている方にはそれでは勝てないという話でした。