さて…作図完了した図面を自分でチェックする事について、前回前々回と少し長く話を続けてしまいました。
同じような話をかなり続けてしまったので、ちょっとしつこいと感じたかも知れません。
ただ、自分で作図した図面に対して「間違っているかも」と疑いを持つ事は、仕事をやっていく中でかなり重要な意味を持っているんですよね。
どんな仕事をしていてもこれは同じだと思いますが、自分の仕事に必要以上に自信満々な人は、実際あまり仕事が出来なかったりするんですよね…
自分の仕事が「まだまだ」と思っているからこそ改善をしていくし、だからこそ成長がある訳で、それがない場合はなかなか成長するのが難しかったりします。
もちろんしっかりと出来る事をやり切った上で、自分の仕事に自信を持つことが悪い訳ではなく、何もしないで自分の能力を過信するのが危ないという話でした。
…と、これ以上続けると居酒屋で語られる「仕事とは…」みたいな鬱陶しい話になってしまうので、このあたりにしておきましょう。
今回は図面を印刷する為に必要な知識として、オートキャド(AutoCAD)に用意されている二つの空間、モデル空間とペーパー空間について考えてみる事にします。
モデル空間とペーパー空間という二つの空間は、作図と印刷をスムーズに進めるためにオートキャド(AutoCAD)が用意している概念です。
自由度の高さがオートキャド(AutoCAD)の特徴なので、それぞれの使い方は作図する側の自由ではありますが、想定された使い方というのはあります。
ざっくりと説明してしまうと…
モデル空間 → 作図をする為のメインとなる空間
ペーパー空間 → 図面を印刷する為に活用する空間(別名レイアウト空間)
という感じで使い分けていく事になります。
まずはモデル空間がどんな感じなのかを説明していくと、先ほども書いたように主に図面を描いていく為に用意されている空間です。
要するにごく普通の作図スペースとも言えます。
以前UCSやWCSなどの座標系について説明をしましたが、そうした概念も基本的にはこのモデル空間内で使われている座標系になっています。
オートキャド(AutoCAD)ではこのモデル空間に様々な図面を表現していく事になります。
オートキャド(AutoCAD)では、モデル空間に図面を表現していく際に、作図対象をそのままの大きさで表現していくという特徴があります。
例えば巨大なダムの図面を描く場合には、何十メートルもあるコンクリートをまさにそのままの大きさで表現していく事になります。
これがモデル空間の大きな特徴です。
実際にオートキャド(AutoCAD)を使って作図をしてみると、作図対象をそのままの大きさで表現していくのはごく自然なことだと分かります。
例えば20mの壁をそのままの大きさで表現しない場合、作図する際にわざわざ数値を換算しながら表現していかなければなりません。
それは結構面倒な事なので、やはりそのままの大きさでモデル空間に作図対象を表現していくのが最もシンプルで分かりやすいのではないかと思います。
ただ、そうして作図した対象を図面としてまとめる事を考えると、あまりにも作図対象が大きすぎて困る事になると思います。
ダムはさすがに大きすぎるとしても、例えば建物であっても用紙サイズに納めるには大きすぎるので、そこは少し何か考えないといけません。
そうした状況で役に立つのがペーパー空間になる訳で、ペーパー空間についての説明は次回に改めて取り上げてみたいと思います。