図面には縮尺と呼ばれる設定があって、図面が図面として成立する為には、ある程度決められた縮尺を守っていく必要があります。
前回はそんな縮尺がなぜ存在するのか、というそもそもの話を考えてみましたが、なんとなくイメージは掴めたでしょうか。
ある程度大きなサイズの対象を図面で表現する際には、どうしても一定の割合で縮小して図面内に表現していく必要があるんです。
そうしないと、A1用紙よりも大きいサイズのものは図面に出来ないとか、ひたすら大きい用紙を用意する必要があるとか、ちょっと非現実的な話になってしまいますから。
こうして縮小した図面に対して、その大きさを測りたいという場合も時にはあると思いますが、そこで登場するのが「三角スケール」という事になります。
三角スケール、通称「三スケ」は以下のような形状になっていて、色々な縮尺にあわせたメモリがついているんです。
この中から適した縮尺に合わせれば、図面を縮小している分だけスケールの目盛りも縮小しているので、きちんとした数値を読む事が出来ます。
もちろん計算することによって、通常の定規でも寸法を読み取ることは出来ます。
例えば縮尺1/50の図面に対して定規で距離を測ってみたら、12cmだったとします。
一般的にはcm(センチメートル)の単位はよく利用されるので12cmと書きましたが、図面の世界ではmm単位が標準の場合が多いので、ここでは120mmという事に。
そうなると、以下のような計算式で距離を算出します。
120mm × 50 = 6000mm
元々50分の1に縮小された図面ですから、計測した距離を逆に50倍にすれば、元の寸法が分かるという理屈で、6000mmだから6mという事になります。
これは図面がどのような縮尺であっても同じで、縮小した倍率を元に戻す計算をすればOKではありますが、まあちょっと面倒ですよね。
こうした計算が手間なので、定規の目盛りを最初から同じ倍率で小さくして計測すれば簡単、という趣旨で作られたのが三角スケールという商品になります。
恐らくは仕事をしている中で必要に迫られて生まれたアイデアだと思いますが、こうした商品は本当に便利で使いやすいものです。
こうした縮尺の考え方を、AutoCAD(オートキャド)ではどのように設定するのか、という部分を考えてみると、基本的には同じ考え方で設定をしていきます。
つまり…
・モデル空間上で原寸作図する
・ペーパー空間で部分的に抜き出して縮小印刷をする
・縮尺を想定した文字や寸法の設定をしておく
というような考え方になります。
作図対象をそのままの大きさでまずは作図していく、という縮尺の基本的な考え方は前回も取り上げたので問題ないと思います。
「モデル空間」とか「ペーパー空間」などの言葉が急に出てきた感じになっていますが、これについては後ほど詳しく説明をしていきます。
もしくは上記文字をクリックして、先に説明を読んで頂いてもOKです。
AutoCAD(オートキャド)上で作図する際には、そのままのサイズで作図を進める事を基本としています。
そうしないと作図している中で色々な計算が入ってしまい、非常に面倒になることと、計算の間違いなどが考えられるので…
そうした理由でそのままのサイズでの作図になる訳ですけど、AutoCAD(オートキャド)で作図をする際には、そこで縮尺を意識しておく必要があるんです。
このあたりがCADならではの面倒なところだと思います。
ただ、多少面倒であってもこの考え方を外して作図をすることは難しいというか、後々で面倒な事になってしまうので、最初にこれをきちんと押さえておいた方が良いです。
と言うことで、次回はそうしたCAD側の設定について色々と考えてみることにします。