前回はオートキャド(AutoCAD)の図面データを保存する為のコマンド「上書き保存(QSAVE)」機能を紹介しました。
操作自体は非常にシンプルなので特に悩むような事はないはずですが、使いどころをどうするかによって作図の効率は結構変わってきます。
作図の効率が良くなるというよりも、万が一トラブルが発生した場合のダメージを出来るだけ少なく抑える、というような感じです。
本来データの保存というのはそうした使い方をするので、データを上書き保存する際のタイミングなどについて今回は少し考えてみたいと思います。
そのあたりは特に厳密なルールがある訳ではないので、私の考え方も完全な正解という訳には残念ながらいかないのですが…
今までオートキャド(AutoCAD)を使って仕事をしてきたプロの一つの意見として参考にして頂ければと思います。
まずはそもそもの話として、図面データをこまめに保存するのはなぜか、という話から。
オートキャド(AutoCAD)はパソコンにインストールするソフトである以上、電源が切れるとどうしても強制的に終了してしまいます。
そうなると今まで作図していた図面の状態は保存されていない事になってしまい、最悪の場合はその日の朝一まで図面の状態が戻ってしまう事に。
それが例えば夕方に発生したとしたら、その日にやった大半の作業が無駄になってしまうという、非常に残念というか空しい状態になります。
仕事で図面を描いている以上はある程度期限などがあるはずで、こうしたトラブルが原因で期限を守る事が出来なくなる可能性もある訳です。
そうした困った状態にならない為の予防措置として、ある程度節目節目でこまめにデータを上書き保存しておく事が重要になってくるんです。
この「こまめに」という部分が大きなポイントです。
ここでもの凄く当たり前の話をしてしまいますが…
データさえしっかりと保存しておけば、その後オートキャド(AutoCAD)を終了した場合でも、保存した状態から作図を再開する事が出来ます。
例えば14:00にパソコンの電源が落ちてしまいオートキャド(AutoCAD)が終了してしまった場合の事を考えてみます。
その日に一度もデータを保存していない場合、当然4時間程度図面の状態が元に戻ってしまい、それを取り戻す為に同じくらいの時間がかかってしまいます。
しかし昼過ぎの13:30にデータを保存していた場合、データを元の状態に戻すために必要な時間は30分程度で済みます。
これはもう当たり前の話ではありますが、全然図面を上書き保存していない場合と比べて、こまめにデータを保存する価値はかなり大きいと言えるでしょう。
今時そんなトラブルなんて起きるはずがない。
そう思う方もいらっしゃるかも知れません。
私もそう思いたいところなんですけど、実際のところこうしたトラブルというのは本当に忘れた頃にやってくるものなんです。
しかも大抵の場合は「今そうなると本当に困る」というタイミングで起こる。
こうしたトラブルはある程度仕方がない部分もあるのですが、データをこまめに保存する事によって、そのダメージを最小限に留める事が出来る訳です。
その為にやるべき事はそれほど大変ではなく、単純に要所要所で図面を上書き保存しておくだけ。
図面の密度によって違うので一概には言えませんが、図面を作図して完成まで持っていく為には結構膨大な時間と手間が必要になってきます。
それを一日の作業で完了させるのは難しい場合も多いです。
こうした長丁場の業務に取り組む訳ですから、作図データをこまめに保存しておく癖をつけておく、というのは非常に重要な要素ではないか、という話でした。