新規作成で作図を開始した図面データには線種が実線しかないので、図面として使用しそうな線種を呼び出す手順を前回は紹介しました。
私がこの操作を覚えたのはかなり昔の話ですが、当時は若かったせいか「こんな不親切なCADは使えないな」と思った記憶があります。
もしかしたらこれを教えてくれた人が「AutoCADは細かい設定が多いから大変なんだ」と繰り返し言ってくるのが鬱陶しかったのかも知れません。
覚えるのが大変なCADを俺は使いこなしている! という感じの雰囲気が周囲に漂っていて、こうはなりたくないなと思ったことも覚えています。
そんな昔話はさておき、ここではまず図面で使用する線種について、簡単にではありますが説明をしてみたいと思います。
前回呼び出した線種は以下のような感じになっていますが…
これを日本語の線種名で表現してみると、以下のような感じになります。
Continuous → 実線(見えてくる線・切断される線)
DASHED → 破線(何かに隠れてしまう線)
HIDDEN → 点線(何かに隠れてしまう線)
CENTER → 一点鎖線(芯など実際には存在しない線)
PHANTOM → 二点鎖線(手前側に隠れる線など)
これが実際にどのような線なのかは、上記の画像を見ると少し想像が出来ると思いますが、名前だけでもなんとなく想像は出来ますよね。
( )内の文字は、その線種が図面上でどのような使われ方をするのか、という部分を簡単に説明したものです。
図面の種類によって微妙に違ってくる可能性もありますが、一般的な図面ではこのような使われ方をしていると思います。
こうした線種の使い分けは図面を作図する上で重要なポイントになってくる訳ですが、その場合に気になるのが「線種がきちんと表現されるか」という部分です。
せっかく線種を呼び出してそれぞれ使い分けたとしても、それが全然表現されていないと全てが実線に見えてしまい意味がないですよね。
「そんな事ある訳ない」
と思われるかも知れませんが、AutoCAD(オートキャド)ではこうした状況になってしまう可能性が残念ながらあるんです。
原因はやっぱりここで登場する縮尺の設定です。
印刷時に縮小することを考えた時に、線のピッチがどのような状態になっていれば良いのか、という設定がAutoCAD(オートキャド)にはあります。
グローバル線種尺度という設定項目で、以下の部分にその尺度を入力出来るようになっています。
グローバル線種尺度とは、図面全体の線種ピッチの細かさをコントロールする設定で、大きいほど線のピッチが粗くなります。
例えば以前の説明で部分的に破線(DASHED)を使いましたが、もちろん適切に線種が分かるような設定をしています。
上図はグローバル線種尺度が50の状態ですが、これを例えば500にすると、線種はかなり粗くなるので、ちょっと見にくい図面になってしまいます。
逆にグローバル線種尺度を5に設定すると、細かくなりすぎてしまうので、単なる実線に見えてしまう状態に。
せっかく設定した線種が皆同じに見えてしまう訳ですから、これが恐らく最も困る状態ではないかと思います。
これらの線種だと、印刷する図面の縮尺があって、その分母程度がちょうど良い設定になるのではないかと思います。
もちろん図面の見栄えには好みもありますから、色々数値を調整して比較検討をしておけば、当サイトの数値にこだわらなくても大丈夫です。
と言うことで、図面の縮尺が線のピッチにも影響を与える事になる、という話でしたが…
やっぱりAutoCAD(オートキャド)で一番ネックになるのが縮尺の話だよな、と、改めて痛感しています。